冬の旅 第二部 対訳

12月2日 ソフィアザール・バロックでの公演用に作成した対訳(第13曲〜第23曲)です。
第24曲は掲載致しません(当日のプログラムには掲載致しております)

許可のない二次使用はご遠慮ください。

第二部

13 郵便馬車

通りの方で郵便ラッパが鳴っている
どうしたんだ
そんなに高く跳ね上がって
僕の心よ?

郵便屋はお前のために
手紙は持ってこないんだ
なんでそんなに妙に迫ってくるんだ
僕の心よ?

ああそうさ、
あの郵便屋は街から来たんだ
僕がいとしい恋人と居たところだよ
僕の心よ!

きっといつか向こうを見て
そして尋ねるつもりなんだろ
街の様子がどんななのか
僕の心よ?

 

14 白髪の頭

霜が見た目を白く染める
僕の頭の上に降りてきて
そこで僕はもう老人になれたのだと思い
僕はとても喜んだ

だけど間も無くそれは溶け去って
再び黒髪になり
僕は僕の若さに恐れる
棺まではまだなんて遠いんだろう!

夕焼けから朝日までの間に
多くの頭が白髪になった。
誰が信じるか? 僕のはそうなってないんだ
この旅全ての中で!

 

15 鴉

一羽の鴉が 僕と一緒に
街からやって来た
今日までずっと
僕の頭の周りを飛んでいた

鴉よ、奇妙な生き物よ
僕から離れようとしないのか?
思ってるんだな
恐らくじきにここで餌食として

僕の体を捕まえようと?
今ではもはや長くは行かないだろう
この旅杖をついていくのも
鴉よ、最後に見せてみろ
墓までついてくる誠実さを

 

16 最後の希望

あちこちで木々に
多くの色とりどりの葉が見える
そして僕は木々の前に立ち止まって
しばしば物思いにふける

ひとひらの葉に目を向け
僕の希望をそれに託してみる
風と僕の葉が戯れて
僕は震えた 僕が震えられる限りに

ああ、そして葉が地面に落ち
それと一緒に希望も離れ行く
僕自身も地面へと崩れ落ち
希望の墓の上で涙するのだ

 

17 村で

犬たちが吠え
その鎖ががちゃがちゃ音を立て
人々は彼らのベッドで眠り
沢山の夢を見る

彼らの持っていないものを
それが自身を良くも悪くも元気にするのだ
明日の朝には全てが溶け去る
でもまあ、彼らはその分け前を受けて

そして望むんだ、まだ残ってるものも
彼らの枕の上で再び見つけようと
僕に吠え続けるんだ、彼らの番犬たち
僕を休ませるな このまどろみの時も!

僕は全ての夢が終わったんだ
僕は眠る人たちの下で
何をぐずぐずしてるのだ?

 

18  嵐の朝

嵐が引き裂いたようだ
天の灰色の衣服を
雲の切れ端が飛ぶ
ぐったりと衝突しながら周りに

そして赤い火焔が
雲の間を突き抜ける
僕はこれを朝と名付ける
僕の感覚に本当にふさわしい

僕の心は空を見る
自分の姿が描かれた
それは冬以外の何でもない
寒く、荒々しい冬なのだ

 

19 幻惑

一つの光が僕の前を愛想よく踊り
僕はそれのあとを縦に横についていく
僕はそれのあとを進んでついて行って
それを見る
それが旅する男を誘惑してるのだ、と
ああ、僕みたいな惨めな者は
色鮮やかな策略に喜んで身を預ける
氷と夜と恐怖との後ろに
それは明るい、あたたかい家を
指し示してくれる
そしてその中に愛する人を
ただ幻惑だけが僕の得るものなんだ

 

20 道標

なんで僕は道を避けているのだろう
他の旅人が行くようなところの
隠れた小道を探すのだろう
雪に覆われた岩窟の?

僕は何もしちゃいない
人を避けなければいけない事なんて
なんて馬鹿な要求なんだ
僕を荒野に追いやるなんて?

標が道の上に立っている
街を指し示している
だけど僕は際限なく旅する
休みなしに、そして休息を求めて

一つの標が立っているのが僕には見える
揺るぎなく僕の視線の先に
一つの道を僕は行かないといけない
まだ誰も戻ってこないその

 

21 宿

ある墓場の上へと
僕の道は僕を連れてきた
ここに立ち寄り泊まりたいと
僕はひそかに思った

お前たちの緑の死者のリースは
きっと印なんだろう
疲れた旅人たちを招くための
冷たい宿へと

この建物は
部屋が全て埋まってるって?
崩れ落ちそうなほど疲れ果てて
死にそうなほどに深く傷ついているのに

おお 無情な酒場め
僕を追い出すんだな
それならさらに先へ行こう、ただ先へと
僕の忠実な旅杖よ

 

22 意気

雪が僕の顔に飛んでくる
僕はそいつを下へ振り落とすんだ
僕の心が胸の中で物言うなら
僕は歌うのさ明るく元気に

聞かないよ そいつが僕に言っても
聞く耳は持っていないのさ
感じないよ そいつが僕に嘆いても
嘆きなんか賢愚な者達のものじゃないか

陽気に世の中へ入って行こう
風や雷雨に逆らってね
地上に神がいないっていうのなら
僕たちが自分自身の神っていう事なのさ!

 

23 幻日

三つの太陽を僕は見た 空にあるのを
長い時間、じっと見ていた
そして太陽たちもそこにずっと居たんだ
とても無表情に
まるで僕から離れたくないかのように
ああ、お前たちは僕の太陽じゃないんだ
頼むから他の顔に目を向けておくれ!
ああ、この間までは
僕も確かに三つ持っていたんだ
今では最良の二つが
落ちて行ってしまったよ
3つめのも続いて行ってくれれば
暗闇の中で僕はもっと快適になるのに

 

24 ライアー弾き

※ 第24曲の対訳はプログラムに掲載しております

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