昨日、sonoriumさんでのシューベルト「冬の旅」が終演いたしました。
素晴らしい音響のsonoriumさんにて、シューベルトの大作、連作歌曲集「冬の旅」全24曲ができたことは僕にとって大きな経験となりました。
「冬の旅」をやりませんか?ときっかけをくれて、素晴らしいピアノを弾いてくれた浜野与志男氏に感謝します。
様々な歌手によって歌われている「冬の旅」。
大御所の演奏を真似ても仕方ないので(練習の段階は別としても)、『今の自分にしかできない「冬の旅」』がテーマでした。
多くの経験を重ね、無駄なものを全て削ぎ落とし、淡々と語る「冬の旅」にはしたくなかった。
30代には30代の「冬の旅」があっていい。そう思っています。
途中で倒れるかと思いましたが、、
その意図はかなりお客様も感じてくださったようで、良かったです。
sonoriumさんは、小さな会場ではありますが、一言で言えば「本物の空間」です。妥協しないこだわりがいたるところに感じられます。
お客様がいないときはものすごい響きすぎるくらいですが、お客様が入ると(特に後方)、やはり音に「芯」がなければ良い響きになりません。
ものすごく助けてくれますが、甘やかしてはくれない。そういう会場だと思います。
浜野氏との競演も、今までで一番良かったと思っています。
ピアノも一緒に詩を語っているようだった。息がぴったりだったという感想を多くいただきました。
特に本番も含め4日間で5回通していましたし、今回は、本当に、今の自分の音楽ができたと思っています。
チラシの写真を撮ってくださった井村さんもご来場くださり、二人の「魂の演奏」と評してくださったのは非常にうれしかったです。
もちろん、演奏家として、人として、課題は多くあります。
これから、まだまだ、長く険しい旅が続きます。
精一杯、自分と向き合い、頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
井上雅人