声楽をやる上で避けられないものが「言語」です。
イタリアオペラ、ドイツリート、ロシア歌曲、もちろん日本歌曲も。
言語はその国の文化、気質、などいろいろなものが現れています。
話せることはもちろん大事です。
その言語の表現方法は歌においても表現に直結します。
極端な言い方をすれば、声楽を伴わない器楽においても、多くの場合は多大な影響を受けています。
ピアノやオーケストラでも、そこを無視した演奏は、やはりチグハグしてしまうことも多いです。
以前ウィーンでイタリアオペラを観る機会がありましたが、オーケストラの音がドイツ語を語っていました。
第1音から、とても違和感を感じたのを覚えています。
さて、話せることも大事ですが、同じくらいに大事なことは「発音」です。
母音の色、子音の処理の仕方、などなど。
何年も留学していた人でも、カタカナ発音のままの人も多くいます。でもそれでは、留学の7割は無駄にしてしまったと言っても良いと思っています。
どんなに話せても、歌ってみると、ああ日本人だな、と一発でわかる場合が多いのが現状です。
わかるわからないが問題なのではなく、その音楽を活かせているかどうか、ということが問題です。
自分自身も語学音痴。人一倍準備には時間がかかります。
でもその手間を惜しんでしまえば、自分で音楽を殺してしまうことにもなりかねません。
行ってみて、どういう国なのか、肌で感じることは本当に大事です。
でも、感じた上で、それを言語、文化、気質、そして音楽と、様々なこととリンクしていかなければ、なんの意味も成さないのです。
自分自身への戒めも込めて、書いてみました。