仙台、東京と続いた公演も残すところ明日のみとなりました。
東北で、東北に関係するオペラを、という事で何が何でも出たかった公演でした。
特に支倉常長、伊達政宗は仙台を中心に活躍した武将ですが、二人とも我が山形県出身。
政宗を演じる金沢は秋田出身。後で聞いたところ、東北出身の二人が選ばれたのは、全くの偶然だったそうです。
常長に降り掛かった苦難は、震災を経て、復興の歩みを一歩一歩進める東北の今の姿と重なって見えてなりません。
東北からはなれていると、まるでもう震災は過去のもののような雰囲気があります。
震災以降、チャリティーコンサートを3回東京で行ない、それと同時に、被災地での演奏も行なってきました。福島での演奏は今でも続けており、南相馬に始まり、いわきには12月にも行く予定です。
今回仙台の方々とご一緒して感じたのは、とにかく、「意思の強さ」。
一人一人が、支倉常長であり、「人間」なのです。
復興へ突き進む東北の力を!と言っても良いこの作品、そしてこの公演。
三善先生と支倉の人生。そして仙台の皆さんと支倉の意思の強さ。
長年ドイツで努力し活躍なさった小森さんの生き方もまた支倉と重なります。
色んなものが、無数に絡み合って今回の公演が成り立っています。
とにかく言えるのは、今回のプロダクション、非常に素晴らしい共演者、スタッフに恵まれたという事です。音楽家として、人間として。
小森さんは尊敬する素晴らしいバリトンであり、また、努力の人でもあります(僕が知るのはごく一部でしょうが)。努力を重ねているからこその自身と説得力。学ぶ事が多いです。
ソテロ役の小山さんも今回初共演。稽古を重ねる度に「ソテロ」に見えてくるのは凄かったです。
非常に気さくな方であり、しかし演奏、演技には真剣。素晴らしい方です。
影の平野さんは、膨大な台詞、そして難しいアリアと大変な役柄ですが、素晴らしい歌唱で毎回感服しています。関西の方なので台詞は本当に努力なさっていました。
政宗の金沢は同い年で学生時代から知る仲。フィガロの結婚でフィガロとバルトロをやって以来。また争う役です(笑)
そしてなにより、仙台から来ている大人の合唱も児童合唱も本当に素晴らしい!
初日にいらしていたお客様も口々に言っていました。
仙台フィルのエネルギッシュな演奏とともに、東北のエネルギーに満ち満ちた演奏です。
明日、いよいよ最後の公演。
新国立劇場でお待ちしております!