R.シューマン(1810−1856)

連作歌曲集『詩人の恋』 Dichterliebe Op.48

親交のあった詩人ハイネの詩に作曲した、シューマン”歌曲の年” – 1840年 – の作品です。

1840年は、ピアニストのクララと結婚することができた年。
ここまでには、シューマンのピアノの師でクララの父でもあるヴィークとの軋轢があり、裁判を経て、ついにクララと結ばれることができました。

それまでは、声楽曲は器楽曲に劣ると感じていたシューマン。しかし、クララとの結婚が近ずくにつれ、一転、素晴らしい歌曲を数多く作曲し、その勢いは自身が “それ以外の音楽が手につかない” と語るほどでした。

その中で書かれた彼の最も有名な歌曲集「詩人の恋」。

16曲から成る声楽曲ですが、この曲はまさにピアニストを目指していたシューマンだからこその作品です。

歌とピアノ、どちらかだけでは成立しない音楽。素晴らしいアンサンブル作品なのです。


連作歌曲集『詩人の恋』全16曲  –  Dichterliebe Op.48 井上雅人訳

対訳 色々な方の対訳を参考にしながら、自分の解釈に基づいて訳しております。

 

1 素晴らしく美しい五月に

素晴らしく美しい5月に
全てのつぼみが弾け咲くように
僕の心の中にも
恋が花咲いたんだ

素晴らしく美しい5月に
全ての鳥たちが歌うように
僕も彼女に告白した
僕の憧れを そして願いを

2 僕の涙が咲き出る

僕の涙から芽を吹く
たくさんの若々しい花たちが
そして僕のため息は
ナイチンゲールのコーラスになる

そしてもし君が僕を愛してくれるなら、可愛い君
僕は君に贈ろう  この花全てを
そして君の窓辺に響くだろう
ナイチンゲールの歌が

3 バラ・ユリ・鳩・太陽

バラ、ユリ、鳩、太陽
どれも僕がかつて愛してた 愛の喜びの中で
僕はもうどれも愛してない  僕が愛するのはただ一つだけ
小柄で、華奢で、純粋で、たった1人の子

その人自身が 全ての愛の喜び
バラ、ユリ、鳩、太陽なんだ
僕が愛するのはただ一つ
小柄で、華奢で、純粋で、たった1人の子

4 僕が君の瞳を見入る時

僕が君の瞳を見入るとき
僕の苦しみも悲しみもすっかり消えてしまう
僕が君の口にキスするときも
僕はすっかり元気になってしまう

僕が君の胸へと寄りかかると
天国の喜びが僕へと降り注ぐ
だけど君が言うとき – “あなたを愛している”と –
僕は激しく泣くしかないんだ

5 僕は僕の魂を浸したい

僕は僕の魂を浸したい
ユリの杯(萼)の中に
ユリはそっと息吹き 響かせるだろう
僕の愛する人の歌を

歌は恐れ震える
彼女の口がくれたキスのように
彼女がそれを僕にかつてしてくれた
素晴らしく甘い時に

6 ライン 聖なる流れに

ラインの 聖なる流れ
その流れの中に映し出されるのは
巨大な大聖堂のある
聖なるケルン

その大聖堂の中に 一枚の肖像画が立っている –
金色の羊皮紙に描かれた –
僕の荒れ果てた人生の中で
友好的な光を傾けていた

漂う花々と天使たちが
僕らの聖母様のまわりにある
その瞳その唇 その頰
愛する人と全く同じなのだ

7 僕は恨まない

 

 

8 花が、小さな花が知ったなら

9 あれはフルートとヴァイオリン

10 あの歌が鳴り響くのを聴くと

11 一人の若者が娘に恋をしたが

12 眩しい夏の朝

13 僕は夢の中で泣いた

14 毎晩夢の中で僕は君を見る

15 昔話から

16 古い、忌まわしい歌